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「福祉だから」ではなく、「欲しいから」選ばれるものを

誰かが安心して働ける場所を作るためには、ただ「仕事を用意する」だけでは足りないのかもしれません。その仕事が少し誇らしくて、少しおしゃれで、思わず人に見せたくなるものだったら、働くことそのものの景色が変わっていく。香りの瓶に貼る小さなラベルから、ユニフォームのようなTシャツ、オンラインで商品を届ける仕組みまで——実は、未来の働き方はもう静かに始まっていました。


福祉を「憧れられる仕事」に変えていく

働くことを作る。

最近ずっと考えているのは、このことです。

ただ仕事を紹介するのではなく、ただ作業を切り出すのでもなく、こちら側で仕事そのものを設計する。しかも、その設計の中心にいるのは、障害のある当事者の方々です。

その人たちが働きにくい場所に無理に合わせるのではなく、その人たちが働きやすい環境を前提にして、仕事を作っていく。

これは思いつきではありません。

6年前から、ずっと逆算して考えてきたことでした。

今すぐ形になるものもあれば、まだ少し先に置いているものもある。ICT、IT、SNSに関わる仕事もあるし、民間職のような領域もある。その中で、少しずつ準備してきたもののひとつが、アパレルでした。

そしてもうひとつが、香りです。

正確には香水というより、フレグランス。

気持ちを落ち着かせるための香りを、試験的にスタジオへ置いています。子どもたちの様子を見ながら、香りがあることで何か変化があるのか、集中しやすくなるのか、落ち着きやすくなるのか、少しずつヒアリングしているところです。

香りは、記憶に一番残りやすいもののひとつだと思っています。

ある香りを嗅いだ瞬間に、昔の場所や人や感情がふっと戻ってくることがあります。言葉では思い出せなかったものが、香りによって一瞬で立ち上がる。

もし、ある香りが子どもたちにとって「落ち着ける場所」の記憶と結びついたらどうだろう。

その香りがある場所に行きたい。

あそこに行くと安心する。

あの場所で過ごしたい。

そういう感覚が少しでも生まれたら、それは単なる商品ではなく、場所の記憶を支えるものになるのではないかと思っています。

働く場所を作ることは、安心できる記憶を作ることでもある。

フレグランスが本当に良いものになってきたら、いずれ商品として展開していきたい。

その時に大事にしたいのが、瓶のラベルです。

瓶に貼るラベルを、当事者の方々に可愛く描いてもらう。オリジナルの香りに、オリジナルのラベルがついた小さな瓶を作る。そうやって、商品としてちゃんと手に取りたくなるものにしていく。

これは「福祉の商品だから買ってください」ということではありません。

素敵だから欲しい。

可愛いから飾りたい。

香りが好きだから使いたい。

そう思ってもらえるものを作りたいのです。

この感覚は、アパレルにもつながっています。

Tシャツ、キャップ、グッズ。

今あるものは、ラフダイのユニフォームであり、スクールTシャツのような立ち位置でもあります。みんなで同じものを着ることで、一体感が生まれる。チーム感が出る。

野球でもサッカーでもそうです。

ユニフォームを着て、みんなで練習する。その服を着るだけで、自分がそのチームの一員であることを感じられる。

最初の狙いは、そこにありました。

でも実は、その先もすでに考えています。

このグッズは、もうECショップでオンライン販売できる状態になっています。まだ販売はしていません。でも、準備はできている。

なぜそこまで先に作っているのか。

それは、A型やB型の就労支援が始まった時に、すでに仕事がある状態にしたいからです。

たとえば、EC販売部門があってもいい。

人と対面で会話をすることが苦手でも、オンラインでチャット対応をする仕事ならできる人がいるかもしれない。注文が入ったら在庫を確認し、商品を梱包し、発送する。商品ページを整えたり、写真を撮ったり、説明文を考えたりする仕事もある。

働く形はひとつではありません。

店舗で接客するだけが仕事ではないし、誰かと常に会話することだけが働くことでもない。オンラインだからこそ力を発揮できる人もいる。

だから、A型やB型が始まった時に「何をしましょうか」とゼロから考えるのではなく、もう仕事がある状態にしておきたい。

しかも、それはすでに世界観まで設計されている仕事です。

香りがある。

服がある。

グッズがある。

ECがある。

SNSがある。

そのすべてが、働く場所とつながっている。

働きやすい仕事を作るだけではなく、働きたくなる世界を作りたい。

大切なのは、福祉だから仕方ない、という空気にしないことです。

もちろん、立ち位置としては福祉です。

でも、自分たちが強く持っていたいのは、エンタメの感覚です。もっと言えば、楽しいもの、通いたくなるもの、素敵だなと思えるものを作り続けたい。

働いている人も、おしゃれであってほしい。

可愛かったり、かっこよかったり、自分たちの空気感をまとっていてほしい。

そこにある世界観そのものが、「いいな」と思われるものであってほしい。

福祉だから応援する、ではなく、かっこいいから関わりたい。

福祉だから買う、ではなく、欲しいから買う。

福祉だから通う、ではなく、あそこに行きたいから通う。

その違いは、とても大きいと思っています。

これまで作ってきたものは、一見するとバラバラに見えるかもしれません。

フレグランス。

アパレル。

キャップ。

Tシャツ。

オンラインショップ。

SNS。

でも自分の中では、すべてつながっています。

それは、6年前から考えてきた「働くことを作る」という構想の一部でした。

仕事を作るというのは、単にタスクを増やすことではありません。

人がそこに関われる余白を作ること。

得意なことや苦手なことがあっても、役割を見つけられる導線を作ること。

そして、その仕事が社会の中でちゃんと価値を持つように、商品としても、ブランドとしても、世界観としても磨いていくこと。

その準備を、少しずつ進めてきました。

だから、A型やB型が始まった時に、同じことを繰り返すだけにはしたくない。

「何か作業を探す」のではなく、「もう仕事がある」。

「とりあえずやってもらう」のではなく、「この仕事を一緒に育てていく」。

その状態で始めたいのです。

香りのラベルを描く人がいる。

商品を梱包する人がいる。

オンラインで販売を支える人がいる。

SNSで発信する人がいる。

在庫を管理する人がいる。

服を着て、その世界観を体現する人がいる。

その一つひとつが、働くことになっていく。

そしてその仕事が、誰かにとって「ここでなら働けるかもしれない」という入り口になる。

振り返ると、もうすべては始まっていました。

まだ販売していないものもある。

まだ正式にローンチしていないものもある。

でも、構想はすでに動き出している。

瓶のラベルも、Tシャツも、キャップも、ECショップも、子どもたちが落ち着く香りも、全部が未来の仕事につながっている。

働くことを作るというのは、未来の誰かの居場所を、今から少しずつ形にしていくことなのだと思います。

そしていつか、その場所が「支援される場所」ではなく、「憧れられる場所」になったらいい。

あそこに行きたい。

あそこで働きたい。

あの服を着たい。

あの香りを持っていたい。

そう思ってもらえる世界を、これからちゃんとローンチしていきたいと思っています。

 
 
 

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