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エンタメ就労支援ー頑張りたい気持ちと、身体の声を聴くことー

何か新しいことを始めるときの、あの胸の高鳴りを覚えているだろうか。「もっとやりたい」「もっと先へ進みたい」という情熱が、まるで追い風のように自分を後押ししてくれる。しかし、その情熱が強すぎるとき、私たちはしばしば大切なサインを見落としてしまう。心が、そして身体が、まだ追いついていないという静かな悲鳴を。本当に大切なのは、その速度ではなく、一歩ずつ着実に進んでいるという事実そのものなのかもしれない。


「もっとやりたい」気持ちが、心を追い越すとき

エンタメ就労支援の場で、ある素晴らしい出会いがありました。20代前半の彼女は、家でゆっくりと過ごす時間が長かった生活から一歩を踏み出し、私たちのトレーニングに参加してくれたのです。2026年6月上旬から始まった挑戦は、ダンスやエンタメ活動、そして就労のためのビジネストレーニングなど、目まぐるしくも充実したものでした。

初日、彼女は満面の笑みで「すごく楽しい!もっとやりたい!」と言ってくれました。その言葉は翌日も、そのまた次の日も続きました。彼女の純粋な喜びと前向きなエネルギーに、私たちスタッフも心を動かされ、つい「もっと応えてあげたい」と力が入ってしまったのです。彼女の「やりたい」という気持ちは、間違いなく本物でした。

しかし、変化の兆しは5日目に訪れました。あれほど楽しそうにしていた彼女が、突然涙を見せたのです。「やりたい」という強い気持ちはある。でも、心がついてこない。ほんの数日前まで家で過ごしていた身体は、急激な活動量の増加にまだ慣れていませんでした。気持ちだけが先走り、心と身体がそのペースに追いつけなくなってしまったのです。

私たちはすぐに彼女のお母様、そして彼女が週に一度カウンセリングを受けている先生と連絡を取り、状況を共有しました。そこで見えてきたのは、彼女の「やりたい」という意欲を尊重しつつも、今はあえてペースを落とす必要があるという結論でした。彼女の心と身体が、新しい環境とリズムにしっかりと順応するまで、意図的に「もっとやりたい」と感じるくらいのところで、その日の活動を終える。それが今の彼女にとって最も大切なことだと気づいたのです。


今回の経験は、私たちにとっても大きな学びとなりました。不登校のお子さんやひきこもりの支援において「頑張らせすぎてはいけない」とよく言われます。何よりもまず「現状を維持できている」こと自体が、どれほど素晴らしいことか。その事実を受け止め、共感し、本人の気持ちが向く方向に少しずつ、本当に少しずつ進んでいく。私たちは彼女の嬉しそうな顔を見て、その原点を忘れかけていたのかもしれません。

彼女の前向きな気持ちは、何にも代えがたい宝物です。だからこそ、私たちはその情熱の炎が燃え尽きてしまわないよう、大切に守っていかなければなりません。これからカウンセラーの先生やご家族と密に連携を取りながら、彼女自身の心と身体のペースを丁寧に見つけていきます。一歩進んで、少し休む。その繰り返しが、やがて彼女を本当に望む場所へと導いてくれるはずです。まずはこの一歩を大切に、私たちは彼女と共に歩んでいきます。

 
 
 

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