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エンタメ療育が教えてくれた、発達の順序という地図

子どもがお箸をうまく持てないとき、多くの親は「練習が足りない」と思う。でも本当の問題は、指先よりずっと手前にあることが多い。発達には順番がある——そしてその順番を無視して先を急いでも、子どもは苦しいだけだ。


お箸が持てない、その本当の理由

「お箸の持ち方」についての相談は、療育の現場で本当によく寄せられます。動画や教材も世の中にたくさんあります。でも今日は少し立ち止まって、そもそもの話をしたいと思います。

お箸をうまく使えないとき、多くの場合、問題は「指先」にあるのではありません。指先の発達がまだゆっくりであること——それは結果であって、原因ではないのです。

発達には、実は明確な順番があります。

指先の前に、手首。手首の前に、肘。肘の前に、肩。この流れを「分化」と呼びます。肩がうまく使えていない段階で指先のトレーニングをしても、土台のない場所に家を建てようとするようなものです。どれだけ繰り返しても、なかなか定着しないのは当然のことなのです。


根っこから育てる、エンタメ療育のアプローチ

では、どうするか。

私たちがエンタメ療育で実践しているのは、この発達の順番に沿って、遊びながら身体を育てていくことです。

最初のステップは肩の回旋。リボンを使った動作などで、肩をしっかり動かすところから始めます。次に肩を固定して、肘だけを動かす練習。そして肘も押さえながら、指先だけを使う段階へと進んでいく。

この順番を丁寧に踏んでいくことで、身体の感覚が少しずつ整っていきます。急がない。でも、確実に。


洗濯バサミのタワーという発明

指先のトレーニングでよく使われるのが、洗濯バサミです。これを並べて貼っていく練習は、指先の発達にとても効果的です。

でも私たちがよくやるのは、それをさらに「タワー」にすること。一点に集中して、洗濯バサミを積み上げていくのです。

これが意外と難しい。同じ場所に力を集中させながら、指先を細かく使わなければならない。でも子どもたちは不思議なほど夢中になります。「難しい」より先に「楽しい」が来るから、自然と繰り返すことができる。

遊びの中に、ちゃんと理由がある。それがエンタメ療育の核心です。


発達を信じるということ

身体の発達は、根っこから枝先へと向かいます。焦って先の部分だけを鍛えようとすると、子どもは「できない自分」を繰り返し経験してしまう。それは技術の問題ではなく、順番の問題なのです。

洗濯バサミのタワーを積み上げながら夢中になっている子どもの顔を見るとき、私はいつも思います。発達を信じるとは、その子の「今」を信じることだと。

根っこが育てば、枝は自然に伸びていく。お箸はその先にある、ほんの小さな一枝に過ぎません。

 
 
 

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