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マネタイズしない勇気——無料という名の招待状

3月12日
読了時間: 2分

誰かに見てもらうために舞台に立つ。それなのに、その「誰か」が限られているとしたら——それは本当に発表の場と言えるだろうか。

多くのダンススタジオやバレエ教室では、発表会が大きな収益源になっている。参加費は数万円、観覧費も6,000円前後。それが業界の「当たり前」として機能している。発表会そのものが、ビジネスモデルの一部になっているのだ。

でも、私はそうしたくなかった。

私が運営する発表会では、観覧費を無料にしている。これは単なる「サービス」ではなく、ひとつの明確な哲学に基づいた選択だ。発表会でお金を儲けたいわけじゃない。それより大切なのは、踊る子どもたちが、できるだけ多くの拍手を浴びることだ。

10人の前で踊るのと、100人、200人、300人の前で踊るのとでは、受け取る歓声の重みがまるで違う。拍手の数が増えれば、それだけ子どもたちの中に「自分は応援されている」という感覚が刻まれる。その感覚こそが、踊り続ける力になる。

無料にするのは、来ることのハードルをゼロにするためだ。

友だちでも、親戚でも、先生でも、ふらっと来た近所の人でも、誰もが気軽に足を運べるようにしたい。「見に行きたいけど、6,000円払うほどではない」という人が、ためらわずに来られるようにしたい。そうやって、応援する人を増やしていきたいのだ。

発表会の主役は、舞台の上にいる子どもたちだけではない。観客席にいる応援する人たちもまた、その場を作り上げる大切な存在だ。だからこそ、観覧費という「壁」を取り払った。

マネタイズのチャンスを手放すことに、不安がなかったわけではない。でも、お金よりも大切なものがある。それは、踊る子どもたちが心から楽しめる場であること。そして、その姿を見た人が「応援したい」と思えるような空気が流れる場であること。

無料という選択は、招待状だ。誰でも、どうぞ見に来てください、という。そしてその招待に応えてくれた人たちが、舞台の上の子どもたちに、何倍もの拍手を贈ってくれる。それが、私の作りたかった発表会の景色だ。

 
 
 

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