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ラフダイがヒヤリハットを大切にする理由

本当に安全な場所には、静かな緊張感があります。大きな事故が起きていないから安心なのではなく、小さな違和感に誰かが気づき、立ち止まり、声に出しているから安心できる。福祉の現場において、その小さな一言が、子どもたちを守る大きな境界線になることがあります。


小さな違和感を見逃さない組織へ

福祉の事業所には、何か問題が起きたときに、大きく二つの姿勢があると思っています。

一つは、小さなことでもすぐに対応し、必要に応じて自治体や関係機関に報告する事業所。

もう一つは、「これぐらいなら大丈夫だよね」と判断して、報告しない事業所です。

ラフダイは、もちろん前者でありたいと思っています。

何か問題があったとき、たとえそれが小さな出来事であっても、全体で共有する。自治体に確認をする。保護者様に必要なお詫びをする。そして、今後どう改善していくかを話し合う。

その内容をヒヤリハットとして記録し、スタッフ全員で共有し、次回から同じことが起きないようにしていく。

これは、当たり前のようでいて、実はとても大切な文化です。

最初から、組織全体にその意識があったかというと、そうではなかったかもしれません。初期の頃は、ごく一部のスタッフが強く意識していた部分もあったと思います。

けれど、ラフダイも4年目になり、その空気は少しずつ変わってきました。

今では、特定の先生だけではなく、いろいろなスタッフから自然に声が上がるようになっています。

「これ、ちょっとヒヤリハットとして上げた方がいいよね」

「待って、これは気をつけた方がいいんじゃない?」

「小さいことだけど、共有しておこう」

そういう言葉が、現場の中で出てくるようになりました。

これは、すごくいいことだと思っています。

ヒヤリハットが多いということは、単に問題が多いという意味ではありません。むしろ、小さな危険や違和感を見つける目が育っているということでもあります。


事故を防ぐ組織は、問題が起きない組織ではなく、問題の芽を隠さない組織です。

小さなことに目を光らせるスタッフが増えると、組織全体の安全基準が上がります。

安全基準が上がると、大きな事故は起きづらくなります。日々の支援の中で、「これは大丈夫かな」「この対応でよかったかな」と考える習慣が生まれます。

それは、単にルールを守るという話ではありません。

子どもたちに関わる仕事をしている以上、私たちは常に、見えないリスクと隣り合わせにいます。だからこそ、何も起きていないように見える日常の中で、どれだけ小さなサインに気づけるかが大切になります。

そして、こういう動きを続けていると、外部との関係にも良い循環が生まれていきます。

自治体の方々からも、「ラフダイさんはちゃんと上げてくれているので」と言っていただくことがあります。

これは、評価されたいからやっているわけではありません。

ただ、必要なことを必要なタイミングで共有し、隠さず、改善しようとし続ける。その積み重ねが、結果的に信頼につながっているのだと思います。

年に2回ほど、自治体や他の事業者が集まって、意見交換をする場があります。

そこでは、「こういうケースのとき、どうしていますか」といった話し合いが行われます。その中で、ラフダイの対応について質問されることも増えてきました。

「ラフダイさんはどうしていますか?」

そう聞かれることが多くなったのは、私たちが完璧だからではありません。

むしろ、小さなことを小さなうちに共有し、改善しようとしてきたからだと思っています。

福祉の現場において、本当に怖いのは、大きな問題が突然起きることだけではありません。

本当に怖いのは、小さな違和感を「まあいいか」で済ませ続けることです。

一つひとつは小さなことかもしれません。

でも、それを見逃し、隠し、共有しないまま積み重ねていくと、やがて大きな問題につながってしまうことがあります。

虐待も、そういう小さなものの積み重ねの先に起きることが多いのではないかと思っています。

最初から大きな問題として現れるのではなく、最初は些細な違和感だったのかもしれない。ちょっとした言い方、少し乱れた対応、いつもなら気づけたはずの変化。

それを誰も止めなかったとき、誰も声に出さなかったとき、境界線は少しずつ曖昧になっていきます。

だからこそ、ヒヤリハットは大切です。

それは、誰かを責めるためのものではありません。

現場を萎縮させるためのものでもありません。

むしろ、スタッフ同士で守り合うための仕組みです。子どもたちを守るためであり、保護者様との信頼を守るためであり、働くスタッフ自身を守るためでもあります。


「これくらい大丈夫」を手放した先に、本当の安全文化が生まれます。

ラフダイでは、そもそも長時間のお預かりを行っていません。

保護者様の目もあり、支援の構造としても、大きな問題が起きづらい環境ではあります。実際に、重大なことが起きているわけではありません。

それでも、「だから大丈夫」とは考えません。

起きづらい環境だからこそ、なおさら当たり前のようにアンテナを張る。小さな違和感を共有する。改善できるところは改善する。

その空気が、少しずつ組織の中に育ってきていることを、とても良いことだと感じています。

ヒヤリハットが多いことは、恥ずかしいことではありません。

むしろ、見えているということです。気づいているということです。声に出せているということです。

そして、その一つひとつが、子どもたちにとって安全な場所をつくっていく。

安全は、大きなスローガンだけでは守れません。

日々の小さな報告、小さな確認、小さな違和感への反応によって守られていきます。

これからもラフダイは、小さなヒヤリハットを軽く扱わない事業所でありたいと思っています。

誰かが「これ、ちょっと気になる」と言えること。

それを周りが「ありがとう」と受け止められること。

その積み重ねが、事故を防ぎ、虐待を防ぎ、信頼を育てていくのだと思います。

本当に安全な場所は、何も起きていないように見える場所ではありません。

何かが起きる前に、誰かが気づき、声を上げ、みんなで立ち止まれる場所です。

ラフダイが目指しているのは、まさにそういう場所です。

 
 
 

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