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伸びしろしかない私たちへ:ラフ大療育の一日の流れ

8月29日
読了時間: 6分

人が変わっていく瞬間は、いつも大きな出来事の中にあるわけではありません。朝、体を動かすこと。呼吸を整えること。自分の考えを言葉にして、誰かの言葉にも耳を傾けること。そうした小さな時間の積み重ねが、気づけば「私はどこへ進みたいのか」という問いに、少しずつ輪郭を与えてくれます。


ラフ大の一日:体を整え、心を整え、未来へつなげる時間

ラフ大のトレーニングでは、日々の流れの中に、いくつもの大切な目的があります。

ただ技術を身につけるだけではなく、自分の状態を整えること。人との関わり方を学ぶこと。そして、自分がどんな道に進みたいのかを、支援員さんと一緒に少しずつ確認していくこと。

今回は、ラフ大の一日の流れの中でも、実際のサービス提供時間についてご紹介します。

ラフ大のサービス提供時間は、基本的に月曜日から金曜日まで。時間は朝10時から15時までです。

この5時間の中で、身体を動かし、頭を使い、人と関わり、自分自身を振り返る。そうしたカリキュラムを一つひとつ行っていきます。

まず10時に来たら、最初の1時間はしっかり体を動かします。

体を動かして、息をして。ここで大事なのは、ただ運動をすることだけではありません。身体を起こし、呼吸を整え、自律神経を少しずつ整えていくことです。

一日の最初に身体を整えると、その後の時間の入り方が変わります。

頭だけで頑張ろうとすると、どうしても疲れてしまうことがあります。でも、身体が少しゆるみ、呼吸が入り、自律神経がすんと整ってくると、学びに向かう準備ができていく。

その状態をつくることが、ラフ大の一日のはじまりです。

11時ごろからは小休止を挟み、その後40分ほど、その日にやることのタスク管理や、簡単な生活訓練を行います。

就労移行を目指す方にとっては、簡単なタイピングなど、頭を使う内容にも取り組んでいきます。

ここで大切にしているのは、時間の長さではありません。短い時間で、ギュッと集中して取り組むこと。

せっかく身体を動かして脳が活性化され、自律神経が整っているタイミングだからこそ、その流れの中でタスク管理や生活訓練に入っていく。無理に詰め込むのではなく、整った状態を活かして、必要なことに集中する。

そうやって午前中の時間を過ごしていきます。

そして12時から13時までは、お昼休憩です。

この時間も、ただの空白ではありません。午前中に動いた身体と頭を一度休ませて、午後のメインメニューへ向かうための切り替えの時間です。

休むことも、訓練の一部です。

頑張り続けるだけではなく、休む。整える。もう一度戻ってくる。そうしたリズムを身につけていくことも、働くうえで、そして生活していくうえで大切な力になっていきます。

13時からは、その日のメインメニューに入ります。

内容は曜日によっても変わりますし、その人その人の支援計画によっても変わります。

たとえば資格取得を目指している方であれば、その資格に向けた傾向と対策のトレーニングを行ったり、座学の部分に取り組んだりします。

目標があると、日々の訓練にも意味が生まれます。

「何のためにこれをやっているのか」が見えると、人は少し踏ん張れるようになります。ただ言われたことをこなすのではなく、自分の未来と今の行動がつながっていると感じられること。それが継続の力になります。

また、トークスキルやディスカッションの時間を設けることもあります。

自分の意見を言うこと。相手の意見を聞くこと。その両方を、演劇などを通して練習していきます。

人と話すというのは、簡単なようでいて、とても繊細なことです。

自分の気持ちを言葉にするには勇気がいりますし、相手の言葉を受け止めるには余白が必要です。うまく話すことだけが目的ではなく、そこには「自分を知ること」と「相手を知ること」があります。

自己理解はとても大切です。

自分は何が得意なのか。どんな場面で緊張するのか。どんなときに力を発揮しやすいのか。どんな環境だと苦しくなってしまうのか。

そうしたことを、自分一人だけで見つめるのは難しいこともあります。

だからこそ、支援員さんと話をしながら、客観的に自己理解ができているのかを確認していきます。

自分では当たり前だと思っていたことが、実は強みだったと気づくことがあります。逆に、自分では大丈夫だと思っていたことが、少しサポートの必要な部分だったと見えてくることもあります。

どちらも大切な発見です。

自己理解とは、自分を責めるためのものではありません。自分を正しく扱うためのものです。

そして、自己理解と同じくらい大切なのが、他己理解、つまり他者理解です。

相手のことをちゃんと受容してあげること。自分のことも受容してあげること。

人との関わりの中では、自分だけが正しいわけでも、相手だけに合わせればいいわけでもありません。自分の感じ方があり、相手の感じ方がある。その違いを知りながら、どう関わっていくのかを考えていく。

その中で、「じゃあ自分には何ができるんだろう」という問いが生まれてきます。

これは、とても大切な問いです。

できないことだけを見るのではなく、できることを探す。苦手なことを無視するのではなく、どう工夫できるかを考える。自分の特性や状態を理解したうえで、自分が社会の中でどう力を発揮できるのかを見つけていく。

ラフ大の時間は、そのための練習でもあります。


自己理解とは、自分を責めるためのものではなく、自分を正しく扱うためのものです。

14時15分から14時45分ごろまでは、その日の振り返りを行います。

最後の30分ほどで、「今日はどこまでできたのか」「自分の目標はどこにあるのか」「どの道に進んでいきたいのか」を、支援員さんと一緒に話し合っていきます。

一日をなんとなく終わらせない。

今日はここまでできた。私の目標はこれだ。じゃあ次回はこれができるようにしていこう。そして最終的にはここで頑張るんだ。

そうやって、目標達成に向けた確認を都度都度行っていきます。

振り返りがあることで、その日の経験が次の日につながります。

やったことが流れていくのではなく、自分の中に残っていく。小さな達成も、小さな課題も、次の一歩の材料になっていく。

これは、ラフ大だけで大切なことではありません。仕事でも、生活でも、きっと同じです。

当たり前を当たり前にやる。

言葉にすると簡単ですが、実際にはとても難しいことです。時間通りに来る。身体を整える。やることを確認する。人と話す。自分を振り返る。次の目標を決める。

どれも派手なことではありません。

けれど、その一つひとつを積み重ねることが、未来につながっていきます。


当たり前を当たり前にやることは、簡単そうに見えて、実は一番深い訓練なのかもしれません。

ラフ大の一日は、10時から15時までの限られた時間です。

でもその中には、身体を整える時間があり、頭を使う時間があり、人と関わる時間があり、自分を見つめる時間があります。

そして最後には、今日の自分を確認し、次の自分へつなげていく時間があります。

私たちは一日で大きく変わるわけではありません。

けれど、今日できたことを見つける。今日できなかったことを責めずに受け止める。次はどうしていくかを考える。その繰り返しの中で、少しずつ自分の道が見えてきます。

当たり前を当たり前にやるのは、難しい。

でも、だからこそ、伸びしろしかありません。

ラフ大の時間は、その伸びしろを一緒に見つけていく時間です。

 
 
 

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