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個別支援計画書で未来を支えていく

9月1日
読了時間: 5分

支援の現場には、派手な奇跡よりも、静かに人を救うものがあります。たとえば、一枚の計画書。そこに書かれた言葉が、ある家族にとって「この子をちゃんと見てくれている」という証になり、こらえていた涙をほどくことがあるのです。


個別支援計画というものは、本当に大切です。

福祉の現場では当たり前のように使われる言葉かもしれません。けれど、私はこの「当たり前」を、決して軽く扱ってはいけないと思っています。

なぜならそれは、その子にとっての共通認識カルテのようなものだからです。

今、その子がどんな状態にあるのか。何に困っているのか。何が得意で、何に安心できて、何を少しずつ伸ばしていけるのか。支援に関わる人たちが、同じ方向を向くための土台になるものです。


先日、東京のご利用者様のことで、保護者様から相談がありました。

以前は、とても笑顔で、ニコニコ過ごしていたお子様でした。けれど、ここ半年ほどで状態が変わり、家から出ることが苦手になってしまった。

お父様、お母様からその話を聞いたとき、胸が痛みました。

「つい半年前は、あんなに笑顔だったのに」

保護者様のつらさも伝わってきましたし、私自身もつらかったです。だからこそ、すぐに動けるようにしましょう、とお伝えしました。


そこから、相談支援員さんが動いてくださいました。

利用計画を立て、アセスメントを取り、支援計画を作り、関係者でカンファレンスを行う。必要なプロセスを一つひとつ踏みながら、支援の準備を進めていきました。

ありがたいことに、とても早いスピードで整えていただき、今年の6月からスタートできる見通しになりました。

その前に、保護者様へ「こういう計画で進めていきたいと思います」と個別支援計画をお見せしました。

すると、涙を流してくださいました。

その涙を見たとき、改めて思いました。


個別支援計画は、ただの書類ではありません。

もちろん、制度上必要なものです。作らなければならないものです。半年経ったらモニタリングをして、必要に応じて見直していく。福祉の現場では、当然のプロセスとして存在しています。

でも、その当然の中にこそ、本質があります。

支援計画をしっかり作るということは、その子をちゃんと見るということです。

保護者様の声を聞き、本人の状態を見て、関わる支援員同士で話し合い、「よし、この方向で行こう」と共通認識を持つ。そのうえで、日々の支援が積み重なっていく。

支援は、一日で大きく変わるものではありません。

今日の関わりがあり、明日の関わりがあり、その積み重ねの先に変化があります。けれど、その積み重ねがどこへ向かっているのかが曖昧だったら、支援はばらばらになってしまう。

だからこそ、個別支援計画が必要なのです。


それは、支援者のためだけのものではありません。本人のためであり、保護者様のためであり、チーム全体のためのものです。

「半年前に立てた目標は、ここまでクリアできたね」

「三ヶ月前に設定したこの課題は、少しずつできるようになってきたね」

「じゃあ、次はこれをやってみよう」

そうやって支援計画に基づきながら、支援が積み重なり、成長につながり、自立につながっていく。

本来、それが個別支援計画の役割です。

支援計画をしっかり作るということは、その子をちゃんと見るということです。

今回、保護者様から「こんなにしっかり作ってくださったのは初めてかもしれません」と言っていただきました。

正直、少し驚きました。


こちらとしては、当たり前のことをしている感覚でした。アセスメントを取り、カンファレンスをして、計画を作り、支援員と共有し、本人に合った支援を組み立てていく。

でも、その「当たり前」が、どれだけ保護者様にとって安心につながるのかを、改めて教えていただいた気がします。


現場にいると、アセスメントやカンファレンス、計画作成は、時に大変です。時間もかかります。調整も必要です。書類も多い。

けれど、それを単なる面倒な作業として捉えてしまったら、大切なものを見失ってしまう。

その子の現在地を確認すること。

家族の思いを受け止めること。

支援者同士が同じ地図を持つこと。

そして、その子の未来に向けて、具体的な一歩を決めること。

それらはすべて、支援の根っこにあるものです。

一枚の計画書が、家族に「もう一度進めるかもしれない」と思ってもらうための灯りになることがある。

私は、個別支援計画を大切にしたいと思っています。

きれいな言葉を並べるためではありません。立派な書類を作るためでもありません。

その子のために、関わる大人たちが本気で考えた証として、必要だからです。


今回のご利用者様も、ここからスタートです。

すぐにすべてが変わるわけではないかもしれません。時間がかかるかもしれません。うまくいく日もあれば、戻ってしまうように感じる日もあると思います。

それでも、支援計画という共通の地図があれば、迷ったときに立ち戻る場所があります。

今、何を大切にするのか。

次に、何を目指すのか。

誰が、どのように関わるのか。

その一つひとつを共有しながら、日々の支援を積み重ねていく。

半年前の笑顔を、もう一度取り戻すために。


そして、その子がその子らしく、自分の足で進んでいける未来につなげるために。

個別支援計画は、ただの紙ではありません。

それは、支援の出発点であり、家族への約束であり、その子の可能性をみんなで見失わないための地図なのだと思います。

 
 
 

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