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小集団療育で見えてくる、試し行動への関わり方

8月21日
読了時間: 5分

子どもがわざと困らせるようなことを言ったり、何度も同じ行動をくり返したりするとき、大人はつい「やめなさい」と反応したくなります。でも、その一瞬の反応が、実はその行動を強めてしまうことがあります。大切なのは、子どもを見捨てることではなく、よい行動に戻ったほんの小さな瞬間を見逃さないことです。


「試し行動」が増えたとき、大人が本当に見るべきもの

療育の現場で、最近よく相談を受けることがあります。

「急に試し行動が増えてきたんです」

「今までなかったのに、困る行動が目立つようになりました」

こうした声は、保護者の方からも、支援者の方からも少なくありません。

試し行動と一言で言っても、その背景はひとつではありません。大きく分けると、主に二つのパターンがあります。

ひとつは、本当に大人の気を引きたい場合。

もうひとつは、子どもの中にある不安やストレスをどう扱えばいいかわからず、その表現として行動に出ている場合です。

後者の場合は、安心感の土台づくりや感情の受け止め方がとても大切になります。けれど今回は、前者の「気を引きたい」という目的で起きている試し行動について考えてみたいと思います。

このときに役立つ考え方のひとつが、ABAの中にある「望ましい行動を強化し、望ましくない行動は消去していく」という視点です。

ただし、ここで誤解してはいけない大切なポイントがあります。

「消去する」とは、子どもを無視することではありません。

望ましくない行動をしている最中には反応しない。けれど、望ましい行動に戻った瞬間には、すぐに気づき、すぐに褒める。

この切り替えがとても重要です。

子どもを見ないのではなく、よい行動に戻る瞬間を見逃さない。

たとえば、子どもがわざと「うんち、うんち」と言い続けている場面があったとします。

そこで大人が、「そんな汚い言葉を言わないの」「やめなさい」「何言ってるの」と反応してしまうと、子どもにとってはそれが大人の注目になります。

つまり、本人が気を引きたくてその言葉を使っている場合、その行動は強化されてしまいます。

大人としては注意しているつもりでも、子どもからすると「この言葉を言うと見てもらえる」「反応してもらえる」という学習になってしまうのです。

では、どうすればいいのか。

その言葉を言っている間は、大きく反応しない。表情を変えたり、注意したり、言葉で返したりしない。

けれど、ずっと続くわけではありません。必ず一瞬、言葉が止まる瞬間があります。

その瞬間を見逃さないことです。

パッと目を向けて、すぐに伝えます。

「静かにお話聞けるね」

「今、いい姿勢だったね」

「落ち着いていられたね」

この「瞬時に褒める」ということが、何より大切になります。

悪い行動に反応しないだけでは、子どもには何をすればよいのかが伝わりません。けれど、よい行動に戻った瞬間に褒めることで、「この行動が正しいんだよ」と伝えることができます。

さっきまでの行動には反応しなかった。

でも、今の行動にはしっかり気づいてくれた。

この経験の積み重ねが、子どもの行動を少しずつ変えていきます。

療育の現場では、この「観察」がとても大事です。

ただ見ているだけではなく、子どもの行動の流れをよく見て、望ましい行動が出た瞬間に確実にアプローチする。

そのためには、大人側にも集中力が必要です。

特に小集団での療育には、この点で大きなメリットがあります。子ども一人ひとりの様子を先生たちがしっかり見て、必要なタイミングで介入できるからです。

大人数では見逃してしまうような小さな変化も、小集団であれば拾いやすい。

さっきまでふざけていた子が、ほんの一瞬だけ話を聞く姿勢になった。

言葉遊びで気を引こうとしていた子が、一瞬だけ静かになった。

周囲を見ていた子が、活動に戻ろうとした。

こうした瞬間こそ、支援のチャンスです。

行動は、叱られた瞬間よりも、認められた瞬間に育っていく。

もちろん、これは簡単なことではありません。

大人も人間なので、困った行動が続くと疲れます。何度も同じことをされると、反射的に注意したくなります。

でも、気を引くための試し行動に対しては、その反応そのものがごほうびになってしまうことがあります。

だからこそ、大人側が少し立ち止まり、「今この子は何を求めているのか」「どの行動に注目すべきなのか」を考える必要があります。

試し行動のすべてを悪いものとして見るのではなく、そこにある目的を見立てる。

そして、子どもがよりよい形で注目を得られるように導いていく。

これが、療育の中でとても大切な関わり方のひとつです。

ラフダイの療育トレーニングでは、こうした関わりを小集団の中で実践しています。

エンタメの力も大きいと感じています。子どもたちが楽しいと感じられる場だからこそ、よい行動を自然に引き出しやすくなります。

楽しい活動の中で、先生たちがしっかり観察する。

望ましくない行動には過剰に反応しない。

望ましい行動が出た瞬間に、すぐに褒める。

この積み重ねによって、困った行動を減らし、よい行動を増やしていくことができます。

試し行動が増えたとき、大人がまずするべきことは、ただ叱ることではありません。

その行動の目的を見立てること。

反応すべき瞬間を選ぶこと。

そして、子どもが正しい行動に戻った瞬間を、見逃さずに伝えること。

子どもは、大人の反応をよく見ています。

だからこそ、私たち大人もまた、子どもの小さな変化をよく見る必要があります。

反応しないことは、冷たくすることではありません。

それは、子どもがよりよい行動を選べるように、静かに待つことです。

そして、いい行動が見えた瞬間には、ためらわずに光を当てる。

その瞬間から、子どもは少しずつ学んでいきます。

「この行動なら、見てもらえる」

「この姿なら、認めてもらえる」

「こうすれば、人とつながれる」

試し行動は、大人を困らせるためだけに起きているわけではありません。

それは時に、子どもなりの不器用なサインです。

だからこそ私たちは、そのサインに振り回されるのではなく、行動の奥にある目的を見ながら、よりよい形へと導いていきたいのです。


 
 
 

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