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焦らない。でも、止まらない。大きなビジョンを現実にするための足場作り

誰かの人生を支える事業を立ち上げるとき、その熱量や理想だけでは、現実は1ミリも動かない。むしろ、最も大切なのは、一見地味で、退屈にさえ思えるような「足場」を固める作業だ。派手なプロモーションや大きな発表の前に、どれだけ深く根を張り、来るべき嵐に耐えられる土台を築けるか。僕たちは今、その最も重要で、最も静かな準備期間の中にいる。理想を現実に変えるための、泥臭くも確かな一歩を踏み出すために。

僕たちが立ち上げようとしている新しい学びの場「ラフ大」は、まだ輪郭がおぼろげな、初稿の初稿の、そのまた初稿という段階だ。今はまだ、A4用紙の両面に記されたコンセプトと、これから肉付けしていくべき無数の余白があるだけ。このチラシにどんな言葉を乗せれば、本当にそれを必要としている人たちの心に届くのか。2月頃から本格的に動き出す未来を見据えながら、今はただ、コツコツと種を蒔き続けるしかない。

先日、情報収集のために栃木の職業訓練校を訪ねた。そこで得たある制度の情報が、僕たちの進むべき道を照らす、一つの大きな光になった。それは、企業と働き手の間にある「雇用の壁」をなだらかにするための、画期的なマッチング制度だ。

就労を目指す人が企業で3ヶ月間の「お試し期間」を経験できる。その間、企業側には助成金が、働く側には給料が支払われるという。企業にとっては採用のリスクが下がり、働く側にとっては安心して挑戦できる。面接という一回の接点だけでは決して生まれなかったはずの出会いが、そこから生まれるかもしれない。この仕組みは、僕たちが栃木でゼロからイチの実績を作るための、強力な武器になる。ここで4、5件の前例を作ることができれば、それを携えて東京へ展開する時、物語は全く違うものになるだろう。

もちろん、現実は甘くない。栃木という土地柄、いわゆる大企業のホワイトカラー職への道は狭いと聞いた。多くの大企業は、すでに完成された採用システムを持っており、そこに外部から新たな風を吹き込むのは容易ではない。

しかし、その担当者はこうも言っていた。「コンサルタントのように企業に入り込み、具体的な業務を切り出す提案ができれば、雇用の幅を広げられる可能性がある」と。僕たちがやるべきは、ただ求職者を送り出すことではない。企業側の採用システムそのものに寄り添い、共に新しい雇用の形をデザインしていくことなのだ。そこにこそ、僕たちの介在価値がある。

この挑戦の中で、もう一つ見えてきた重要な課題がある。それは、保護者が抱く「安定した大きな会社で働いてほしい」という願いと、本人が望む「自分に合った仕事」との間に生まれるミスマッチだ。このすれ違いが、多くの若者を苦しめている。僕たちの役割は、このミスマッチを「まろやかに」していくこと。どちらかの願いを否定するのではなく、両者が納得できる着地点を、粘り強く探していくことだ。

そのための鍵は、「いつでも帰ってこれる場所」というセーフティネットかもしれない。一度社会に出てみて、もし苦しくなったら、またここに戻ってくればいい。そして、エネルギーを充填し、もう一度チャレンジすればいい。完全にマッチする仕事なんて、そう簡単に見つかるものではないのだから。失敗を許容し、再挑戦を応援する。そんなサイクルを作れたら、彼らはもっと安心して一歩を踏み出せるはずだ。

僕たちの手元には、まだ未完成のチラシと、いくつかのアイデア、そしてささやかな人との繋がりしかない。しかし、焦りはない。今は、この静かな準備期間こそが重要だと知っているからだ。西野亮廣さんやフィッシュボーイさんといった影響力のある方々の力を借りるタイミングは、もっと先。彼らの力を借りて一気に認知が広がった時、僕たちの足場がもろかったら、全てが崩れ去ってしまう。

だから今は、ただひたすらに土を固める。4月にオープンする栃木の拠点で、一つずつ実績を積み重ねていく。この一年で、誰が来ても揺らがない強固な土台を築き上げる。大きなジャンプは、しっかりとした足場があってこそ可能なのだから。

 
 
 

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