top of page
検索

福祉現場で良好な関係性を築くには

「なぜ、あの人はわかってくれないんだろう?」私たちは、誰かの行動に苛立ち、心の中で相手を責めてしまうことがあります。職場であれ、家庭であれ、自分はこんなに頑張っているのに、なぜあの人は、と思う瞬間。その怒りの根源は、実はとてもシンプルな場所にあります。それは、私たちが無意識に「他人を自分の思い通りに動かしたい」と願っていることから生まれるのです。しかし、もし、その視点を180度変えることができたなら、世界はどう見えるでしょうか。

 かつての私も、他人の行動に意識が向き、そのことばかりで頭を悩ませる時期がありました。「なぜ、あの人はできないんだ」「どうして私の言うことを聞いてくれないんだ」と。職場では、従業員同士の業務量の差から、そういったいざこざが生まれることも少なくありません。しかし、今はもう、他人のことで心を乱されることはなくなりました。

 鍵となったのは、自分自身のマインドセットを変えることでした。そもそも、私たちはなぜ怒るのでしょうか。それは、物事が「自分の思い通りにならない」からです。「私はこうしたいのに」「こうあるべきなのに」という自分の期待が裏切られたとき、怒りが生まれます。私たちは、無意識のうちに他人をコントロールしようとしているのです。

 しかし、よく言われるように、他人を変えることはできません。変えられるのは、いつだって自分自身だけです。この事実に気づいた瞬間、心が驚くほど軽くなりました。問題は、相手が良いか悪いかではありません。自分が変われるか、変われないか。ただそれだけなのです。まるで仏の境地に至ったかのような感覚でした。

 だからといって、相手に何も期待しないわけではありません。「こう動いてくれたら嬉しいな」という願いは持ち続けます。しかし、それを強制するのではなく、相手がどう動いても対応できるように、自分ができる準備をすべてしておくのです。そして、もし相手が自分の思い描いたように動いてくれたなら、それは当たり前ではなく、心からの「ありがとう」が生まれる瞬間になります。

「やってくれてありがとう」「助かるよ」。感謝の言葉を口にすると、相手も気持ちがいいし、もちろん自分も嬉しくなります。「なんでできないんだ!」と怒りをぶつける代わりに、「自分の指示の出し方が悪かったのかもしれない」「やり方を変えてみよう」と、自分に問いかける。あるいは、「どうすればうまくできるかな?」と、相手に直接聞いてみる。そうやって、自分が変わる努力をするのです。

「自分が変わる」というと、自己中心的な響きに聞こえるかもしれません。しかし、その本質は「相手のため」に他なりません。相手に気持ちよく働いてもらうために、相手に喜んでもらうために、自分が変わる。この視点を持つことで、驚くほど人間関係は円滑になり、現場の空気は良くなっていきます。

 怒りに囚われ、他人を責めてしまう人は、このシンプルな真理を見失っているのかもしれません。問題の解決策は、相手を変えることではなく、自分自身の心の内側に目を向けることにあるのです。

 
 
 

最新記事

すべて表示
福祉施設開所に向けた覚悟

新しい始まりの前に 何か大きなことを成し遂げようとするとき、私たちはしばしば二つの感情の間で引き裂かれます。一つは、未来への揺るぎない希望。そしてもう一つは、足元が崩れ落ちるかもしれないという静かな恐怖です。その緊張感の中で、私たちは夢を語り、覚悟を決め、ただひたすらに準備を重ねます。それは、まだ見ぬ誰かの期待に応え、自分の言葉に責任を持つための、孤独で誠実なプロセスなのかもしれません。 銀行から

 
 
 
子どもたちが学ぶ「同じ世界に立つ」感覚

何もない空間に、一本の縄があると信じてみる。片方の手が上がり、もう片方の手がそれに続き、誰かと呼吸が合った瞬間、そこには本当に縄が見えてくるような気がします。演劇の面白さは、ただ上手に演じることではなく、目に見えないものを誰かと一緒に信じ、同じ世界をつくるところにあります。 演劇のトレーニングというと、台詞を覚えることや、役になりきることを思い浮かべる人が多いかもしれません。 もちろん、それも大切

 
 
 
「できた!」を重ねる感覚統合トレーニング

子どもは、ただ遊んでいるように見えて、実は全身で世界を学んでいます。登る、渡る、転がる、蹴る、狙う――その一つひとつの動きの中で、身体の感覚は少しずつつながり、「できた」という自信へ変わっていきます。昔の公園には、そんな学びが自然に詰まっていました。 今回は、未就学のお子様によく導入しているトレーニングプログラムをご紹介します。 テーマは、遊びながらさまざまな感覚機能を統合していくこと。いわゆる感

 
 
 

コメント


bottom of page