褒められる経験が、子どもの「できる」を育む
- roughdiamondssince

- 3月27日
- 読了時間: 3分
私たちの身体は、絶えずバランスを取ろうとする繊細な楽器のようなものです。もし、ぐらぐらと揺れる不安定な地面の上で一日を過ごさなければならないとしたら、どう感じるでしょうか?おそらく、落ち着いて人の話を聞いたり、何かに集中したりすることは難しいはずです。実は、落ち着きがないように見える子どもたちの多くが、日常的にこれと似た感覚の世界を生きています。彼らにとって必要なのは、叱責ではなく、身体が「安全だ」と感じられる土台を築くこと。そして、その土台は、「止まる」ことの喜びを教える、ほんの数秒の成功体験から始まるのです。
「落ち着きがない」「叱責しても座っていられない」という悩みは、多くの場合、身体の感覚機能、特に「前庭感覚」と呼ばれる土台となる感覚がうまく整っていないことから生じます。私たちは普段意識しませんが、座ったり立ったりする時、身体は常に微細なバランスを取り続けています。しかし、この感覚の調整がうまくいかないと、まるで常にバランスボールの上で生活しているような、絶え間ない不安定さの中にいることになります。これでは、落ち着かないのも当然です。
だからこそ、まず大切なのは、この身体の土台をしっかりと整え、安定した感覚を「使える」ようにしていくことです。叱責によって行動を抑えつけるのではなく、子ども自身が自分の身体をコントロールする感覚を掴めるよう、遊びを通してサポートします。例えば、バランスボールを使った感覚遊びもその一つです。
ここで鍵となるのが、「座れた」という成功体験を積み重ねることです。何かを成し遂げた「結果」を褒めるのではなく、座ろうとした「行動」そのものを褒めるのです。「座ると褒められる」という経験は、子どもにとって自分が認められたという喜びにつながります。「すごいね、座れたね」と10回褒められれば、10回分の嬉しい気持ちが湧き上がってきます。この肯定的なフィードバックが、もっとやってみようという意欲を引き出すのです。
このプロセスを、私たちは丁寧なステップを踏んで行います。まず、「座ってお話を聞こうか」と誘い、座れたことを褒める。そして、座って何かを達成できたという経験を重ねていきます。活動の最後にもう一度座る機会を作り、「ちゃんと座って終えられたね」と褒める。この一連の経験を通じて、「座ることは楽しいことだ」「止まることは心地よいことだ」という感覚が、身体に染み込んでいきます。
最初はほんの3秒からで構いません。その3秒を達成できたら、次は10秒、そして60秒と、少しずつ着席時間を延ばしていきます。重要なのは、その時間ずっと褒められ続けることで、嬉しい気持ちが持続することです。この「座る→褒められる→嬉しい」というポジティブな繰り返しが、やがて「止まる」ことを意識し、自分の身体を自分で抑えるという習慣につながっていきます。
このようにして着席する習慣が身につくと、子どもの世界は大きく広がります。落ち着いて人の話が聞けるようになり、目の前で起きていることをしっかりと見つめられるようになる。それが、「できる」という自信へと繋がっていくのです。私たちは、このような様々な領域からのアプローチを通して、一人ひとりの成長を支援しています。もし、何かご相談がありましたら、いつでもお声がけください。
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