top of page
検索

農耕民族と狩猟民族、体に刻まれたリズムの違い

私たちの身体には、気づかぬうちに刻み込まれた古いリズムが流れています。ある人は下へ、下へと沈み込むような安定したリズムを、またある人は上へ、上へと跳ねるような軽快なリズムを刻みます。この違いは、単なる癖ではなく、私たちの感情や呼吸、そして日々の在り方にまで深く影響を与えているのかもしれません。もし、意識的にそのリズムを変えることができるとしたら、心と身体にどのような変化が訪れるでしょうか。

私たちの多くは、知らず知らずのうちに「ダウンのリズム」で生きています。それは、地面に根を張るように、下へ下へと重心が向かう動きです。この感覚は、日本が古くから農耕民族であったことと関係があるのかもしれません。畑を耕し、稲を植える動作は、腰をかがめ、下方への力を必要とします。この身体の使い方が、私たちのDNAに深く刻み込まれているのです。

一方で、「アップのリズム」というものがあります。これは、欧米の狩猟民族に見られるような、上へ向かう軽快な動きです。獲物を追い、遠くを見渡す彼らの身体は、常に跳ねるようなエネルギーに満ちていました。この「アップのリズム」を、私たち日本人が最初に取り入れるのは少し難しく感じることがあります。無意識のうちに、慣れ親しんだ「ダウンのリズム」に戻ってしまうからです。

しかし、この「アップのリズム」を意識的にトレーニングに取り入れることで、驚くべき変化が起こります。ダウンのリズムでは、体が内側に入り、肩が丸まりがちです。すると、胸が圧迫されて呼吸が浅くなり、気持ちまで沈み込んでしまうことがあります。身体が閉じてしまう感覚です。

ここで、「アップのリズム」の練習が効果を発揮します。意識的に上へ、上へと体を動かすことで、自然と胸が開きます。肩が正しい位置に戻り、圧迫されていた肺が解放され、深く豊かな呼吸ができるようになるのです。体幹が安定し、身体が本来持つ力を発揮しやすくなります。

そして何より素晴らしいのは、気持ちの変化です。「アップのリズム」を刻んでいると、不思議と心が軽くなり、気分が上がっていくのを感じるでしょう。身体のシステムが「開く」ことで、心もまた開かれていくのです。これは単なる気分の問題ではなく、呼吸が深まることによる生理的な変化でもあります。

もしあなたが最近、気分が沈みがちだったり、呼吸が浅いと感じたりするなら、それは無意識の「ダウンのリズム」に捉われているサインかもしれません。ほんの少し、意識を上へ向けてみてください。軽く跳ねるようなリズムを生活に取り入れてみてください。身体が開けば、心も開きます。その心地よさを感じたとき、きっとこう思うはずです。「ああ、いいじゃないか」と。

私たちの身体に刻まれたリズムは、感情や呼吸に深く影響を与えます。「ダウンのリズム」から「アップのリズム」へと意識的に切り替えることで、胸が開き、呼吸が深まり、自然と気持ちが上がっていく変化を体験できます。

 
 
 

最新記事

すべて表示
エンタメ就労支援で見えた、心と体のヘルプサイン

人生には、アクセルを踏み込みたい気持ちと、まだ体が追いついていない現実との間に、静かな葛藤が生まれる瞬間があります。心は未来へ向かって走り出しているのに、足はまだ昨日の場所に根を下ろしているような感覚。それはまるで、長い間止まっていた車を再び動かそうとするとき、エンジンはかかってもタイヤがすぐには回らない、あの感じに似ています。私たちの支援の現場で最近、まさにそんな瞬間がありました。それは、一人の

 
 
 
地域イベントがひらく福祉とエンタメ療育の架け橋

人は、知らないものを怖がる。けれど、光の当たる場所で踊る誰かを見ると、怖さは少しずつ形を失っていく。鹿沼の春、ステージの上で子どもたちの目がまっすぐに光ったとき、理解は理屈ではなく体験から始まるのだと、私ははっきり知った。 栃木県鹿沼市には、春のさつき祭りと秋の秋祭りという二つの大きな祭りがある。私たちはこの春、さつき祭りの「野外ステージ」と「室内ステージ」という二つの会場で、ラフダイダンスのパフ

 
 
 
楽しい療育の裏側にある、静かな設計図

子どもの成長は、まっすぐな線では進みません。できるようになったことがある一方で、新しい環境に入った途端に別の課題が見えてくることもあります。だからこそ、支援には「走り続ける力」だけでなく、ときどき立ち止まり、今どこにいるのかを一緒に確かめる時間が必要です。 モニタリングは、成長の現在地を確認する時間 福祉の事業所では、「モニタリング」という時間を大切にしています。 モニタリングと聞くと、バラエティ

 
 
 

コメント


bottom of page