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心と脳を育む「ダンス療育」の目的

音楽が流れ出すと、自然と身体が揺れ始める。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。頭で考えるよりも先に、心が、身体が、リズムに応答する。それは人間が生まれながらに持つ、最も原始的で、最も純粋な喜びの一つなのかもしれません。私たちは「ダンス」と聞くと、つい振付を覚えたり、上手に踊ったりすることを想像してしまいがちです。でも、その本質はもっとシンプルで、奥深いところにあります。

ダンスが持つ、見えない力

「ダンス」と聞くと、どんなことを思い浮かべるでしょうか。多くの人が、決まった振付を覚え、音楽に合わせて完璧に踊る姿を想像するかもしれません。けれど、私が伝えたい「ダンス療育」の魅力は、少し違うところにあります。それは、ダンスが上手くなること自体を目的とするのではなく、その過程に隠された、心と身体を豊かにする無数の効果を体験することです。

私自身、小学生の頃に少し触れ、高校生からはずっとダンスと共に生きてきました。その経験を通して確信しているのは、何よりもまず「ダンスは楽しい」ということです。

好きな音楽をかけ、ただその音に合わせて身体を動かす。それだけで、心が解き放たれるような感覚を覚えます。子どもたちが音楽を聴くと、自然と身体を揺らしたり、手足を動かしたりするのは、この根源的な楽しさを知っているからでしょう。難しく考える必要はありません。ただ「楽しい」「面白い」と感じる気持ち。それが、ダンスが持つ一番の魅力であり、すべての始まりです。

もちろん、その魅力は「楽しさ」だけにとどまりません。ダンスには、私たちの心と脳を育む、驚くべき効果が秘められています。

例えば、ダンスは「模倣」と「創造」の繰り返しです。誰かの動きを真似ることで、私たちは他者を注意深く観察し、自分の身体でそれを再現しようとします。このプロセスは、脳のミラーニューロンを活性化させ、共感力や社会性を育むと言われています。同時に、即興で身体を動かすことは、自分の内側から湧き上がる感情やアイデアを表現する「創造」の行為です。そこには正解も間違いもありません。ただ、その瞬間の自分を表現する喜びがあるだけです。

ダンスは、言葉を使わないコミュニケーションでもあります。喜び、悲しみ、怒り。言葉にならない複雑な感情も、身体を通して表現することで、自分自身の気持ちを深く理解したり、他者と感情を共有したりすることができます。全身を使って自分を表現する経験は、自己肯定感を高め、自分という存在をまるごと受け入れる力を育んでくれるのです。

ダンスを通じて得られるものは、技術だけではありません。むしろ、技術の向こう側にあるものこそが、人生を豊かにするのかもしれません。音楽と一つになる喜び。身体を通して自分自身と対話する時間。言葉を超えて誰かと繋がる瞬間。

難しく考える必要はありません。まずは好きな音楽をかけて、少しだけ身体を揺らしてみませんか。上手いか下手かなんて、関係ない。そこから、あなたの心と身体が少しずつ解き放たれていく、新しい物語が始まるはずです。

 
 
 

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