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心動かすもの…エンタメ就労支援の現場から

5 分前
読了時間: 3分

世の中には数多くの就労支援が存在します。タイピングの反復練習、ビジネスマナーの習得、模擬面接の繰り返し。もちろん、それらの技術的な訓練も無意味ではありません。しかし私たちは、それらの前段階として「エンタメ就労支援」という新しいアプローチを掲げました。エンターテインメントの力を借りて、まず心と身体をほぐし、前向きなエネルギーを取り戻すことから始める取り組みです。


利用を始めたばかりの頃、多くの方は不安を抱えています。「腰が痛くて身体を動かすのは苦手です」「大勢でにぎやかに過ごすのが得意ではありません」と、防衛の壁を築くのは自然な反応です。私たちは決して無理強いをせず、「見ているだけで大丈夫ですよ」「できる範囲でいいですからね」と敷居を下げて迎え入れました。


ところが、わずか数回の時間を経て、現場には思いがけない変化が訪れました。


最初は様子を伺っていた人たちが、今では自然と朝の30分トレーニングの輪に加わっています。そこでは、ちょっとした脳トレやリズム運動を取り入れているのですが、「これ難しい!」と言い合いながら、部屋中に笑い声が響くようになったのです。かつて周囲を警戒していた人が、隣の人と目を合わせて笑い合っている。その光景を見るだけで、人間の適応力と心の柔軟性に胸を打たれます。


「人が本当に力を発揮できるのは、正しさで縛られた場所ではなく、安心して失敗を笑い合える場所である。」

この朝の30分間は、単なる運動以上の役割を果たしています。身体を動かして緊張を解いた後の作業時間への切り替えは、目を見張るものがあります。だらだらとおしゃべりが続くのではなく、驚くほどのメリハリを持って、全員がパッと自分の課題に没入していくのです。


さらに決定的なのは、利用者と支援員のあいだに生まれる「心理的安全性」です。一般的な企業研修におけるアイスブレイクのように、共に身体を動かして笑い合った経験があるからこそ、作業中に困ったことがあれば気兼ねなく質問ができます。支援員の側も、同じ輪の中で汗を流すことで、上からの指導ではなく、同じチームの仲間として主体的に温かい目配りができるようになります。


居心地が良いからこそ、本来持っている能力が自然と引き出される。支援員もまた、穏やかで優しい関わりを保ち続けられる。ここには、確かなプラスの循環が回り始めています。


私たちが目指しているのは、単に決められたタスクをこなすだけの「苦役としての労働」ではありません。人が自発的に動き、心が動き、その結果として誰かに価値を提供して喜ばれる――そんな生きた営みとしての仕事です。朝の小さな笑い声から始まったこの試みは、私たちが本来あるべき「働く歓び」へと向かうための、確かな一歩になっています。

 
 
 

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