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支援される人、されない人——熱意と考え方を伝える力は、訓練で身につく

誰かに支援されるとき、何が決め手になるのだろう。それは能力でも、運でもない。ある人事の方が教えてくれたのは、「熱意」と「考え方」を持ち、それをちゃんと伝えられるかどうかだった。その言葉は、私の中で静かに響いた。そして気づいたのは、この力は才能ではなく、訓練で身につけられるものだということだ。


ある日、人事の方がこう言った。

「何かを支援するかどうか判断するとき、大切な基準がある。その人に熱意があるか。そして、考え方を持っているか」

つまり、ただ「助けてほしい」と言うだけでは、人は動かない。その前に、自分がどうなりたいのか、何をしたいのか、どんな意志を持っているのか——それを明確に語れるかどうかが問われる。

支援されるべき人とは、まず自分で働きたい、こうなりたい、こんなことがしたいという意志を持っている人なのだ。そしてその熱意と考えを、言葉にして伝えられる人。

この言葉を聞いたとき、私の中で何かが腑に落ちた。

さっそく、私はこの学びを自分のレッスンに取り入れてみた。演劇療育のクラスで、子どもたちに「オーディション形式」の課題を出したのだ。

小さな役を用意して、こう伝えた。

「この役を勝ち取るために、自分をアピールしてみよう。誰が選ばれるか分からない。自分の強みを生かして、『自分ってこういう人間なんだ』って伝えてごらん」

子どもたちは少し戸惑いながらも、YouTubeで見たことがあるのか、気持ちをグッと入れてアピールし始めた。

普段あまり言葉が出ない子も、その瞬間は頑張って声を出していた。緊張しながらも、熱意を持って自分を表現しようとする姿があった。

その光景を見て、私は確信した。

熱意を持って、自分の考え方や思いを発信する力——これは、トレーニングで身につけられるものなのだ。

生まれ持った才能ではない。練習を重ねれば、誰でも少しずつ伝えられるようになる。緊張の中で自分を語る経験を積めば、子どもたちはきっと、人生のどこかで「自分を選んでもらう力」を手に入れる。


人事の方の言葉は、私に新しい視点をくれた。

「何をするか、しないか」を判断する基準は、相手の熱意と考え方にある。そして、その力は誰にでも育てられる。

私はこれからも、オーディションのような場を作り続けたいと思う。子どもたちが、自分の意志を語り、熱意を伝え、人生を自分で切り拓いていけるように。

伝える力は、訓練で身につく。そう信じて、これからも頑張ろう。

 
 
 

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