top of page
検索

「難しい」を選ぶ勇気—ダンスが教える成長の本質

発表会には、いくつもの演目がある。各スタジオの発表、そしてセレクションクラスの発表。このセレクションクラスは、毎回必ずプログラムに組み込まれる特別な演目だ。「セレクション」という言葉が示す通り、それは選ばれし者たちが集まるクラスである。

なぜこのクラスを作ったのか。それは、ダンスを続ける子どもたちの成長の軌跡に理由がある。

最初は誰もが、慣れることから始める。楽しく踊り、仲間と会話し、ダンスという世界に親しんでいく。だが、慣れてくると変化が起こる。もっと上のレベルでやりたい。もっと難しいダンスに挑戦したい。目標が、自然と高くなっていくのだ。

そんな子どもたちに向けて、発表会というゴールを設定するとき、私たちはセレクションクラスを用意する。

このクラスは、普段のレッスンよりも難しい振り付け、高い技術、厳しい練習で構成されている。選ばれた人たちが集まる場所だからこそ、全員がダンスをうまくなりたいという強い意志を持っている。その空気感が、クラス全体を引き上げる。

ここには、優しさだけではない。厳しさがある。苦しさがある。難しさがある。けれど、それを乗り越えた先に、本当の達成感が待っている。乗り越えることの楽しさ、それ自体を身につけていく場所がセレクションクラスなのだ。

仲間との進化がある。互いに激励し合い、切磋琢磨する中で、一人では到達できなかった高みに手が届く。神話のような法則、一体感のある移動、空間認知能力、距離感—これらすべてを、厳しいながらも仲間と共に身につけていく。

今回の発表会でも、たくさんの子どもたちがセレクションクラスに参加している。今、彼らは練習の真っ最中だ。汗を流し、何度も繰り返し、自分の限界を少しずつ押し広げている。

その姿を見ていると、確信する。今晩、素晴らしいパフォーマンスが見られるだろうと。


選ばれるということは、ゴールではない。それは、新しいスタートラインに立つことだ。そこから先は、優しさだけでは進めない道が続く。けれど、その道を歩んだ者だけが手にする景色がある。達成感、成長、仲間との絆—そのすべてが、厳しさの向こう側で待っている。セレクションクラスは、そんな場所だ。子どもたちが自ら選び、自ら挑み、自ら乗り越えていく。その姿を、どうか楽しみにしていてほしい。

 
 
 

最新記事

すべて表示
マネタイズしない勇気——無料という名の招待状

誰かに見てもらうために舞台に立つ。それなのに、その「誰か」が限られているとしたら——それは本当に発表の場と言えるだろうか。 多くのダンススタジオやバレエ教室では、発表会が大きな収益源になっている。参加費は数万円、観覧費も6,000円前後。それが業界の「当たり前」として機能している。発表会そのものが、ビジネスモデルの一部になっているのだ。 でも、私はそうしたくなかった。 私が運営する発表会では、観覧

 
 
 
上手い下手ではない——ダンスが本当に求めているもの

ステージの上で、出演者も観客も、子どもも大人も、みんなが一緒に踊る瞬間がある。誰かが「私には無理です」と言いかける前に、音楽が鳴り、体が勝手に動き出す。その時、師匠が言っていた言葉の意味がわかる。「心が動いて、体が動いたら、もう、それがダンスなんだよ」と。難しい技術でもなければ、練習の積み重ねでもない。ダンスは、もっと身近で、もっと本能的なものだった。 私がイベントの最後にいつも用意しているものが

 
 
 
発表会の最初の3分間——そこに仕掛けた「安心の構造」

舞台の上で緊張している子どもたちの表情が、最初の一曲で変わる瞬間がある。体が固くなっていた肩が下がり、目に光が戻り、笑顔が生まれる。それは偶然ではない。私たちが発表会の最初に必ず「やってみようダンス」を踊るのには、ちゃんとした理由がある。それは、心のハードルを下げ、体を温め、「ここは安全な場所だ」と無意識に感じてもらうための、小さくて大きな工夫なのだ。 ハードルを下げる——最初の曲に求められること

 
 
 

コメント


bottom of page