top of page
検索

指定申請が教えてくれたこと ー就労継続支援ー

大きな前進は、いつも劇的な瞬間として訪れるわけではありません。ときには、机の上に積まれた書類を前にして、「今日は半日かかるだろうな」と覚悟した仕事が、思いがけず1時間で終わる。その静かな拍子抜けの中に、これまで積み重ねてきた経験が、確かに自分の中に根づいていたことを知る瞬間があります。


慣れは、ある日突然「できた」に変わる

2026年6月19日。

ラフダイエンターテイメントでは、2026年8月に向けて、就労継続支援A型とB型の事業所を始めるための準備を進めています。

そのためには、自治体に指定申請を出さなければなりません。

指定申請というのは、言葉で言うと一言ですが、実際には膨大な書類の集合体です。指定申請書、処遇改善の計画、体制届、誓約書、運営規程、定款。さらに、サービス管理責任者の経歴書、実務経験証明書、受講証、修了証など、必要な書類を一つひとつ集め、整え、確認し、提出できる形にしていく必要があります。

自治体に持っていけば、それで終わりというわけでもありません。

「ここを直してください」

「この書類を追加してください」

「この表現を修正してください」

そうしたやり取りをしながら、ようやく申請が形になっていきます。

だから、指定申請にはいつも腰が重くなります。

やらなければならないことは分かっている。締切も分かっている。けれど、頭の中ではすでに書類の山が見えていて、「これは時間がかかるぞ」と身体が先に構えてしまう。

今回も、2026年6月30日までに出せばいい書類でした。

とはいえ、後回しにして楽になるものではありません。むしろ、頭の片隅に残り続けるほうがしんどい。だから、気合いを入れて朝から取りかかりました。

正直、半日はかかると思っていました。

ところが。

1時間で終わりました。

自分でも驚きました。

「あれ、できた」

「あれ、もう終わった」

そんな感じでした。

もちろん、書類そのものが簡単になったわけではありません。必要なものは相変わらず多いし、確認することもたくさんあります。指定申請という作業の性質が、急に軽くなったわけでもない。

変わっていたのは、自分のほうでした。

今回で、法人として指定申請を行うのは4年目。そして、指定申請自体は5回目になります。

5回目になると、さすがに段取りが身体に入ってきます。

何から始めればいいのか。どの書類を先にそろえるべきか。どこでつまずきやすいのか。自治体とのやり取りで、どんな修正が入りやすいのか。

そうしたものが、書類を作り始める前から、頭の中である程度イメージできるようになっていました。

以前なら、ひとつの書類を開くたびに立ち止まり、確認し、不安になり、また調べていたかもしれません。でも今回は、全体の流れが見えていた。だから、手が止まらなかった。

慣れというのは、すごいものです。

けれど、この「慣れ」は、単に作業が機械的になったということではありません。

何度もやってきたからこそ、不安の正体が分かるようになる。何に時間がかかるのか、どこを丁寧に見ればいいのか、どこまで進めば一度提出できるのかが分かるようになる。

経験は、仕事そのものを消してくれるわけではありません。

でも、仕事に向かう自分の輪郭を強くしてくれる。


慣れとは、同じことを繰り返すことではなく、「もう一度できる」と自分を信じられるようになることなのかもしれません。

今回は本当に、自分で自分を褒めたいと思いました。

「すごい」

「よくやった」

「ちゃんと積み上がっていた」

そう言ってあげたい。

普段、自分を褒めることは簡単ではありません。特に、まだ道の途中にいるときはそうです。次にやるべきことがある。まだ完成していないものがある。まだ提出していないものがある。まだ始まっていない事業がある。

だから、自分に対して「まだまだ」と言いたくなる。

でも、今回のような瞬間には、ちゃんと立ち止まっていいのだと思います。

半日かかると思っていたことが、1時間で終わった。

それは、ただの時短ではありません。

4年間の積み重ねが、ひとつの形になって現れたということです。

そして、この早さは、次の準備に時間を渡してくれます。

2026年6月30日までに提出すればよかった書類を、早めに整えることができた。土日を挟んで、月曜日にはもう自治体に持っていける。担当の方と早めにやり取りを始め、申請書も出して、気持ちを少し軽くすることができる。

そうすれば、次はA型・B型の事業所の設備の準備に力を入れられます。

書類を終わらせることは、単に事務作業を片づけることではありません。

未来のためのスペースを空けることです。

頭の中に残っていた重たいものをひとつ下ろし、その分、次に必要なことへエネルギーを向ける。そうやって一歩ずつ、事業は現実になっていきます。

2026年8月に、本当にA型・B型の事業所をつくります。

これはただの予定ではありません。ちゃんと動いています。見えないところで、書類を集め、確認し、申請し、設備を整え、ひとつひとつ準備しています。

表に出る頃には、きっと「できました」と見えるかもしれません。

でも、その前には必ず、こういう地味な朝があります。

書類と向き合う朝。

気合いを入れて机に座る朝。

そして、思ったよりも早く終わって、「ああ、自分もちゃんと成長していたんだ」と気づく朝。


大きな夢は、いつも小さな事務作業の先にある。

だから今日は、自分で自分を褒めます。

よくやった。

ちゃんと進んでいる。

本当に、できるところまで来ている。

2026年8月に向けて、ラフダイエンターテイメントのA型・B型の事業所は、確かに現実へ近づいています。

楽しみにしていてください。

 
 
 

最新記事

すべて表示
療育の現場から、世界へ

何かに貢献するとき、私たちはしばしば「与える側」だと考えます。自分の時間やスキルを提供し、誰かのために役立とうとする。しかし、本当に価値のある瞬間は、その役割が静かに反転するときに訪れるのかもしれません。与えているつもりが、実はそれ以上のものを受け取っていたと気づく瞬間。私が毎月コーチとして参加している活動は、まさにそのような発見に満ちています。それは、感謝が感謝を呼び、やがて大きな円環を描いてい

 
 
 
療育現場のチームビルディング

かつて、すべての道を一人で切り拓かなければならないと信じていた時期がありました。自分が一番速く、一番うまくやれる。そう信じ込み、息を切らしながら走り続けていました。しかし、ある時ふと気づくと、私の後ろには道ができていて、そこを一緒に走ろうとしてくれる仲間たちがいたのです。彼らが「そこ、僕たちがやります」と、私の肩から重荷を下ろしてくれたとき、一人で走り続けることの意味を、そして「チーム」という言葉

 
 
 
動く福祉、キッチンカーがつなぐ仕事

人に来てもらうのを待つのではなく、こちらから会いに行く。たったそれだけの向きの違いが、閉じていた扉を次々ひらいていく。小さなキッチンカーを走らせると、町の温度が少し変わる。仕事の場が近づき、祭りがにぎわい、知らなかった人と人が笑い合う。その移動は販売のためだけじゃない—福祉の重心を動かす、静かな革命だ。 7月、キッチンカーが走りはじめます。私たちRough&Diamonds Japanが準備してき

 
 
 

コメント


bottom of page