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「できた!」を重ねる感覚統合トレーニング

子どもは、ただ遊んでいるように見えて、実は全身で世界を学んでいます。登る、渡る、転がる、蹴る、狙う――その一つひとつの動きの中で、身体の感覚は少しずつつながり、「できた」という自信へ変わっていきます。昔の公園には、そんな学びが自然に詰まっていました。


今回は、未就学のお子様によく導入しているトレーニングプログラムをご紹介します。

テーマは、遊びながらさまざまな感覚機能を統合していくこと。いわゆる感覚統合の考え方を取り入れながら、子どもたちが楽しく、安全に身体を使えるように組み立てています。

昔の公園には、本当にいろいろな遊具がありました。

登るもの、ぶら下がるもの、揺れるもの、滑るもの、またぐもの。今思うと、あれらはただの遊具ではなく、子どもたちの感覚を育てるための大切な環境でもありました。

手でしっかりつかむ感覚。

足裏で踏ん張る感覚。

身体が傾いたり、揺れたり、回ったりする感覚。

たくさん転がること、ぶつからないように身体を調整すること、怖いけれど少し挑戦してみること。そうした経験の積み重ねの中で、子どもたちの感覚は自然に統合されていきました。

けれど今は、「危ない」という理由で、公園の遊具が少なくなってきた時期もありました。最近は少しずつ復活しているところもありますが、それでも昔ほど多様な身体経験を日常の中で得ることは、なかなか難しくなっています。

だからこそ、私たちはトレーニングの中で、遊びの要素を大切にしています。

ただ運動をさせるのではなく、子どもが「やってみたい」と思えること。楽しみながら挑戦できること。そして、安全な場所で、成功体験を積み重ねられること。


子どもにとってのトレーニングは、努力より先に「楽しい」があることが大切です。

今回のコースでは、未就学のお子様が取り組みやすいように、いくつかの動きをつなげたサーキット形式にしています。

まずは平均台のような場所を渡ります。

ここでは、バランス感覚がとても大切になります。足元を見ながら、一歩ずつ進む。身体が左右に揺れたときに、自分で姿勢を戻す。怖がりすぎず、でも慎重に進む。

この「渡る」という動きだけでも、子どもの身体の中ではたくさんの感覚が働いています。

次に、決められた場所を飛び越えます。

ジャンプするためには、足の力だけではなく、距離感やタイミング、自分の身体の大きさを感じる力も必要です。「どのくらい踏み切れば越えられるかな」「どこに着地すればいいかな」と、子どもは身体を使いながら考えています。

うまく飛び越えられないこともあります。

そんなときは、やり直せばいい。もう一度挑戦する中で、身体は少しずつ学んでいきます。

続いて、ヨガマットの上で寝転がる動きも入れていきます。

たとえば、バナナのように身体を丸めたり、伸ばしたりするような姿勢を取ることがあります。こうした動きは、体幹を使う練習にもなりますし、自分の身体の位置を感じる感覚にもつながります。

立って動くだけでなく、寝転がる、丸まる、伸びる、転がる。

こうした動きも、子どもにとってはとても大切です。

最後には、ボールをキックします。

ただ蹴るだけではありません。ボールを見て、足を動かして、狙った方向へ操作する。ゴールを意識して、力加減を調整する。

ここでは、目で見る力、身体を動かす力、タイミングを合わせる力が組み合わさっていきます。

そして何より大切なのは、最後に「できた!」という感覚で終われることです。

サーキットの最後にゴールがあると、子どもは達成感を感じやすくなります。平均台を渡って、ジャンプして、身体を使って、最後にボールを蹴る。その一連の流れの中で、小さな挑戦と小さな成功を何度も経験していきます。


成功体験は、大きなことを一度達成するより、小さな「できた」を何度も重ねることで育っていきます。

実際にやってみると、子どもたちはそれぞれ違った反応を見せます。

慎重に平均台を渡る子もいれば、勢いよく進もうとする子もいます。ジャンプで少し戸惑う子もいれば、ボールキックになると急に表情が明るくなる子もいます。

その一つひとつが、その子の今の身体の使い方や感覚の特徴を教えてくれます。

私たちは、それを見ながら声をかけます。

「ここをしっかり見ようね」

「もう一回やってみよう」

「今のよかったね」

「最後までできたね」

大人から見れば小さな動きでも、子どもにとっては大きな挑戦であることがあります。だからこそ、できた瞬間を見逃さないことが大切です。

感覚統合のトレーニングというと、少し専門的に聞こえるかもしれません。

でも、その本質はとてもシンプルです。

子どもが自分の身体を感じること。

身体を動かしながら、周りの環境と関わること。

そして、その中で「自分はできる」という感覚を育てていくこと。

昔の公園が自然に担っていた役割を、今の環境の中でどう補っていくか。それが、私たちがこうしたサーキットトレーニングを大切にしている理由です。

安全な場所で、楽しく、少しだけ挑戦する。

その繰り返しの中で、子どもの身体は育っていきます。そして身体が育つと、心にも少しずつ自信が芽生えていきます。

平均台を渡ることも、ジャンプすることも、寝転がることも、ボールを蹴ることも、すべてが小さな冒険です。

その冒険の最後に、「できたね」と笑えること。

それが、子どもたちにとって一番大切な成功体験なのだと思います。

 
 
 

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