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「ねえ」と呼んだつもりが「ドンドン!」と叩いてしまう。力のコントロールを育む「感覚」の話。

相手に悪気がないことは、頭では分かっている。けれど、子どもに「ねえねえ」と肩を叩かれたつもりが、思わず「痛い!」と声が出てしまうほどの強さだった、という経験はないでしょうか。あるいは、自分の子どもが、そんなつもりはないのに、お友達を強く叩いてしまう。この「力の加減ができない」という困りごとの根っこには、本人の性格や優しさの問題ではなく、身体が世界をどう感じているかという、もっと深い「感覚」の機能が隠されています。


「ねえ」と呼びかけているつもりが、「ドンドン!」と強く叩いてしまう。そんなつもりはないのに、どうしても力の加減がうまくいかない。こうしたご相談は、本当によく耳にします。

では、私たちはこのような課題に対して、どのようなアプローチをとるのでしょうか。実は、力のコントロールが難しい背景には、その手前にある「感覚機能」が深く関わっています。具体的には「固有感覚」と呼ばれる、自分の体の位置や動き、そして力の入れ具合を感じ取る感覚です。この感覚がまだうまく使いこなせていないと、自分では普通の強さで触れているつもりが、相手にとっては強すぎる、ということが起こるのです。

だからこそ、大切なのは、感覚そのものを養うゲームを通して、自然に力のコントロールを身につけていくこと。そのアプローチには様々な方法がありますが、今日は一つの例をご紹介します。

それは、お友達や先生と一緒に、タオルの両端を持って、その上にボールを乗せて運ぶ、というシンプルなゲームです。ただボールを運ぶだけに見えるかもしれませんが、ここには大切な要素が詰まっています。相手の動きに合わせながら、ボールを落とさないようにタオルの張りを保つには、常に自分の力の入れ具合を微調整しなくてはなりません。

もちろん、最初からうまくいくわけではありません。むしろ、ボールは何度も転がり落ちます。しかし、私たちがこの瞬間に決してしないことがあります。それは、失敗をことさらに指摘したり、叱ったりして「強化」しないことです。

ボールが落ちたら、ただ淡々と拾う。そして、もう一度タオルに乗せて、「こうやって、ゆっくり、丁寧に運ぶと、うまくいきそうだね」と、成功するやり方を体で示しながら繰り返します。そうやって、ゆっくりと、しかし確実に、体を使って力をコントロールする感覚を身につけていくのです。

このトレーニングを始めた当初、先生は大変かもしれません。何度も何度もボールを拾い直し、子どもが「できた!」という成功体験を積めるように、根気強く導く必要があります。

そして、少しずつ慣れてきたら、参加する人数を増やしていきます。先生と子ども、という一対一の関係から、子ども・先生・子ども、というように。人数が増えることで、力の「分散」という新しい要素が加わります。自分一人の力だけでなく、複数の人たちと調和しながら一つのことを成し遂げるために、より繊細なコントロールが求められるようになるのです。

このように、私たちはトレーニングを通して、一つひとつの「困りごと」の根本にある原因にアプローチしていきます。今回は「力の加減」というテーマでしたが、その背景には、世界と関わるための身体感覚という、大切な土台が隠れているのです。

 
 
 

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